カメラを確実に固定し、構図を維持し、また滑らかに動かすために、架台を調達する

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まえがき

カメラを確実に固定し、構図を維持し、また滑らかに動かすために、三脚や一脚といった架台を使います。この記事では映画撮影用の架台を調達するにあたって、その仕様などにおいて、特に注意を配るべき点について記します。

全般

構成

架台は、主に雲台と脚部の二つの部品から構成されます。

重量

架台を選択する上でもっとも注意しなければならない点が、架台自体および積載するカメラとその周辺機器の重量です。

機動性

架台が重いと、機動性は低下します。車両を利用できない場所で長距離を移動する場合には、ある程度軽量のものが良いと考えられます。

耐久性

架台はカメラをその上に積載しますので、許容重量を超える重量のカメラを搭載すると、架台が故障したり、最悪の場合破壊され、カメラの落下等の致命的な損害を被る可能性があります。

雲台に対する加重

雲台は、カメラとその周辺機器の重量の総和を支えます。したがって、カメラとその周辺機器の重量の総和を充分に許容して、それらを支えられるものでなければなりません。

脚部に対する加重

脚部は、雲台が支える重量にくわえて、雲台自体の重量を支えます。したがって、雲台が支える重量と、雲台自体の重量の和を充分に許容して、それらを支えられるものでなければなりません。

安定性

架台に十分な耐久性があったとしても、架台の重量が軽い場合、架台の脚を蹴るといった些細な事故で、架台が転倒し、カメラの破損等の致命的な損害を被る可能性があります。たとえ事故が起きず、転倒に至らなかったとしても、強風や付近を走行する大型車等による振動を吸収できず、映像にぶれが生じる可能性もあります。

安定性については剛性も参照してください。

重量の増加

架台の安定性を高めるために、脚部にストーンバッグと呼ばれるおもりを取り付けて、重量を増加させることができる場合があります。

公称値の扱い

架台の仕様にある許容重量の公称値は、あくまで公称値であり、実際に積載する重量に二割程度の余裕を加算して、許容重量を考慮することをおすすめします。同じカメラでも、周辺機器を取り付けたり、レンズを交換すると、重量が変化することは充分に考えられます。

剛性

架台に対して負荷をかけたときに、その負荷に対してどれだけ本来の形を維持できるか、という特性が剛性です。

剛性は素材と、三脚の場合は脚あたりの軸数に左右されます。

素材

金属

金属製の架台は、耐久性に優れ、剛性も高いという長所があります。重い映画用カメラを積載することを考えると、性能の面では最高と言えます。

しかし、金属製の架台は、重く、機動性が削がれます。また、外気温の影響を受けやすく、気温が低い場合、素手での取扱には注意が必要です。

炭素繊維

炭素繊維製の脚部は、金属製の脚部に比べて、自重に対する許容重量が大きいという長所があります。また、外気温の影響も受けにくいです。

一方で剛性に難があります。

樹脂

樹脂製の雲台は、軽く、安価です。しかし、安定性に期待することはできません。

雲台と脚部の接続方式

ネジによる接続

雲台を回転させて、脚部に雲台と脚部両方に組み込まれたネジでとりつける、あるいは別のネジで接続する方式です。

ボールレベラに取り付けて、ボールレベラによる接続に対応させることもできます。

ボールレベラによる接続

雲台の下に半球状のボールを取り付けて、それを脚部の受け皿に載せて、ネジで締め付ける方式です。

ボールの受け皿を「お釜」などと呼ぶこともあります。

この接続方式は、雲台を水平にしやすく、カメラの向きを変えるときに水平を維持しながら回転させるための下準備がしやすい特徴があります。

その他

潮風や海水による煙害が心配される際や、砂塵に見舞われる可能性がある場合は、その点も考慮して、対策が施されているかを確認すべきです。

雲台

カメラを架台に直接接続する部分を雲台といいます。

回転軸

球体

ボール雲台とも呼ばれる自由雲台は、球体取り付けられた棒にカメラを取り付けます。したがって、球体を締め付けるネジを緩めれば、向きと角度を変更できます。

ただし、簡単に水平をとれる反面、ネジの締め付け時にあらゆる方向に対して安定させなければいけないため、構図にずれが生じる可能性が極めて高いという問題があります。

二軸

二つの軸を持ち、それぞれを任意に調節できる二ウェイ雲台とも呼ばれる二軸の雲台は、向きと迎え角を別々に決定できるため、球体軸に比べて構図を正確に決定することが容易です。

画面を横回転させることができないため、必然的に脚部で画面の水平を確保しなければいけません。ただし、カメラの向きを回転させる際に、 水平を保つには、雲台を水平にしなければならないため、この問題を重要視する必要はないかもしれません。また、横回転をボールレベラに任せるのも一つの選択肢です。

三軸

二軸に加えて、画面の横回転を可能にする、三ウェイ雲台とも呼ばれる三軸の雲台は、自由度の確保と構図の精密な決定という二つの評価軸の両方を満たしています。

一方で、軸数が多いため、大型になりますし、可動部分の数が多いため、故障率が高まり、剛性が低くなることに注意すべきです。特に、撮影中に雲台を回転させたりすると、 ブレやすくなる可能性があります。

軸の回転

多くの軸の駆動系は、その回転の滑らかさをグリスと呼ばれることもある油によって高めています。

流体軸受けの雲台を除き、油はあくまで、軸の回転の滑らかさを高めるものであり、機械工作の精度が軸の回転の滑らかさの大部分を決定します。

従って安価な雲台における軸の回転の滑らかさに必要以上に期待すべきではありません。

なお、油はその性質上、気温が高くなると粘性が低まり、気温が低くなると粘性が高まります。この特性が滑らかな回転を逆に阻害することがありますので、特に寒冷地での使用には注意すべきです。

軸受け

ベアリングと呼ばれることもある軸受けに軸の回転を担保させる方式です。自由雲台もこの方式です。

流体

フルードと英語で記述されることもある、軸まわりに粘度の高い液体を組み込んで、これによって軸の滑らかな回転を行う方式です。その滑らかさは特筆すべきもので、映像の収録中にカメラの回転動作を行うことを考慮すると、映画撮影の用途にはこの方式が適しています。

一方、雲台が大型になり、また重くなるという短所もあります。外気温の影響の度合いも大きくなります。

ギヤ

回転に歯車を使う場合、カメラの重量によってはネジの締め付けがなくとも、雲台が安定するため、極めて精密な構図を作ることができます。

機械

完全に機械式で、油を使用しない駆動系を持つ雲台は、回転の滑らかさが外気温に影響されないため、寒冷地での撮影にも対応できます。

摩擦係数の調整

軸の回転に対して適度な摩擦をかけて、安定した回転制御を行える雲台のなかには、その摩擦係数を調整するための機能が備わっていることがあります。これをフリクションコントロールと呼ぶこともあります。

クイックリリースシステム

雲台とカメラの接続をネジで行うと、取り外しに時間を要します。クイックリリースシステムはカメラの下に専用の板を取り付け、それとかみ合う雲台側の構造にレバーで締め付けて雲台にカメラを固定するため、高速なカメラの取り外しを可能にします。雲台の設計としてクイックリリースシステムが組み込まれているものと、後付けでクイックリリースシステムに対応させられるものがあります。

三脚

カメラの架台として一般的な架台は,映像を安定させ,見やすい,高品質の映像を作るために効果的な機材です。

大きさ

三脚それ自体の大きさは、機動性と安定性に関わります。

大きな三脚は安定感に優れるため、基本的に大きな三脚を使用すべきです。しかし、小さな三脚は狭いところや場合によっては机の上などにも設置できるため、カメラの位置の自由度が高まります。

伸縮

三脚は通常,脚を伸縮して格納できるようになっています。この脚の可変機構にはいくつかの種類があり,この選択は機動性に影響を与えます。

段数

多くの三脚は伸縮段数が3段ですが、4段や2段のものがあります。段数は増えればより小さい状態で輸送することができますし、低い位置にカメラを設置しやすくなります。しかし、剛性は低下します。

固定方式

脚の伸縮状態を固定する機構には、レバー式とネジ式があります。レバー式は、ネジ式に比べ簡単に脚を固定でき、また、中途半端に緩めた場合の脚を破損する可能性が低いことが利点です。

開脚

角度

脚の開脚角が大きい三脚は、カメラを低く設置できます。

固定

三脚自体が開脚の角度を固定できる場合と、スプレッダと呼称される開脚時に脚を固定する装置などを使用して、開脚の角度を固定しなければならない場合があります。

昇降機

エレベータと呼称されることもある昇降機は、カメラの位置を簡単に高めることができます。

高さ

昇降機の高さはカメラ位置の自由度に直結しますが、重たいカメラを高い場所におくため、重心が崩れて事故に繋がる可能性が高まることについて充分に警戒しなくてはいけません。

回転

昇降機のなかには、最大限に伸ばしたあと、軸自体を回転させて、カメラを三脚から横に移動させることができるものもあります。これは、被写体を真上から見下ろすことや、三脚では接近できない位置にある被写体に接近するために有効です。

ただし、重心が移動して安定感を欠くことについては、充分な注意が必要です。

取り外し

昇降機が三脚に存在すると、三脚の最低地上高が昇降機と地面との干渉によって制限されます。しかし、昇降機が存在しない、あるいは取り外せる三脚であれば、昇降機と地面との干渉がないためカメラを低い位置に設置できます。

一脚

一脚は、カメラを撮影技師が支えることを前提として、安定性を高めるために使用します。機動力が高く、三脚の入れない狭いところにでも安定感を維持でき、また、三脚には不可能な前後左右への移動が可能という長所があります。

一脚の特性の多くは三脚と共通しています。

補助脚

補助脚は、一脚によるカメラの前後左右への移動を安定させます。

また一脚のみであれば、自立も可能な場合があります。

むすび

この記事では、架台全般、雲台と三脚および一脚にわけて、その調達時に注意すべき点について記しました。