写真を撮影するために、カメラを調達する

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まえがき

映画を撮影するとき、記録や素材として静止画を撮影することは少なくありません。静止画を撮影するカメラには、映画を撮影するカメラとはまた違った性能が求められます。

この記事では、静止画を撮影するカメラを調達する際に、気をつけるべき点について記します。

なお、この記事はカメラを調達するを補完する形になっておりますので、そちらも参照してください。

映画の撮影と写真の撮影の違いからわかる、写真撮影用カメラへの要求性能

機動力の重要性

劇映画を撮影する際、カメラにそれほど機動性は求められません。基本的に画質向上のためにカメラは架台に取り付けられ、カメラ以外にたくさんの機材を投入して、入念に準備を整えて、撮影を行うことがほとんどだからです。

これに対して、写真撮影では、多くの場合、機動力が映画撮影に比べて重視されます。特に記録の場合は現場に展開する人物や機材の間を縫うように移動して、撮影していくことがほとんどです。

以上の事実から、写真撮影のカメラには機動力を確保するために、軽量であること、小型であることが求められていることがわかります。

時間に対する猶予

映画は主に動画で構成されるため、撮影された動画を構成する画像一枚一枚あたりの品質に対する要求は、写真撮影のそれとくらべて低くなります。言い換えれば、目的の時期を少しぐらい逃しても前後の画像に補完してもらうことができるのです。また、撮影を開始する前に、撮影に関わる媒介変数の設定を行う時間に余裕がありますので、最高の結果を得るために吟味して緻密な設定を行うことができます。

写真撮影の場合は、画像一枚が評価されますので、そこに最高度の品質を要求されます。したがって、目的の時期を逃すことができないと言えます。また、刻々と変わる状況に対応して瞬時に多くの媒介変数を設定する必要があります。

以上の事実は、写真撮影のカメラに、一瞬を逃さないための高い応答性能や、ファインダの視認性、操作性、状況評価性能が求められていることを示しています。

失敗の原因

失敗には様々な種類のものがありますが、ここでは状況の評価が正しく行われ、媒介変数を最大限に良い状態に設定しても、回避することができない種類の失敗について記します。

映画撮影における失敗の多くは、その撮影時間の間に予期しない現象が発生してしまい、写ってはいけないものが写ってしまったことにあります。

写真撮影における失敗の多くは、手ぶれです。架台を使用しないで撮影することが多い写真では、手ぶれが非常に起きやすくなります。また、デジタルカメラの液晶画面では、拡大しないと小さな手ぶれを確認することができないため、失敗が放置されがちな傾向にあります。画素数が大きく、細かな点まで確認できるカメラや、解像度が高いレンズの場合、手ぶれに対する耐性はより低くなります。

以上の事実から、写真撮影を行うカメラには、手ぶれに対抗するための性能が求められていることがわかります。

機動

大きさ

カメラの機動力を推し量る上で最も重要な要素はカメラ自体の大きさです。しかし、1ミリメートルでも小さい方が優秀というわけではありません。中途半端に小さいカメラを選ぶより、大きなカメラを選ぶ方がよいこともあります。これは、カメラが大きい方が基本的に画質が高く、撮影する写真の自由も高いためです。

重量

重量もカメラの機動力に大きく関係します。これも、1グラムでも軽い方が優秀というわけではありません。中途半端に軽いカメラを買うより、重たいカメラを選ぶ方がよいこともあります。重たいカメラは、慣性が大きいため、小さな動作でぶれることがなくなるためです。

機動力を考えた際のカメラの調達計画

写真撮影用のカメラを調達する場合、資金的に余裕があるのなら、自身の体格と撮影環境が許すだけの、大きさと重さを備えた機種と、小さくて軽い機種の二つを調達することをおすすめします。

応答性能

起動時間

起動時間は、撮りたいと思った瞬間にカメラが起動せず、時機を逃さないために大きく関わる要素です。小型のカメラに多い、普段格納されているレンズが繰り出して起動するタイプのカメラは起動時間が遅くなります。

オートフォーカス速度

自動で焦点を設定するオートフォーカスの速度は、方式にもよって変わります。専用の素子を用いて最適な焦点の位置を導き出す方法は高速ですが、撮像している映像に画像処理を行って輪郭抽出を行い、それを評価して行うコントラストAFは低速になる傾向にあります。また、同じ方式でも、年々改良され、高速化が図られていることにも注意すべきです。

記録時間

撮影した写真を記録媒体に書き込む時間が短いと、大量の画像を高画質で連写できます。

ファインダ

電子ファインダ

液晶や有機ELによって作られた画面を通じて撮影される像を確認するものです。

利点としては、ファインダで見ている画角と明るさで撮影されることが挙げられます。これは、特に露出を厳密に設定する際に大変役に立ちます。また、シャッタを切った瞬間に像が消失しない利点もあります。

欠点としては、実際の視野内の動きに対して、遅れが生じ、時機を逸する可能性があることや、発色や解像力に劣る場合がある点が挙げられます。

光学ファインダ

レンズから侵入した光をそのまま見ることができる光学ファインダにはいくつかの種類があります。

共通の利点として、実際の視野内の動きに対して、ファインダに映し出された像が遅延しないため、時機を逸する可能性が極めて低いことが挙げられます。

一眼レフ

一眼レフの光学ファインダは、レンズから侵入した光をクイックリターンミラーで曲げ、ペンタプリズムあるいはペンタミラーを通じて見ます。

一眼レフの光学ファインダの利点は、ファインダで見ている画角と撮影される画角の一致度が高いことです。

欠点として、撮影される瞬間はクイックリターンミラーが動くため、像が消失して確認できなくなることが挙げられます。

ミラーとプリズム

一眼レフにおいてクイックリターンミラーが曲げた光をファインダに通すために再度曲げる部分をペンタミラーあるいはペンタプリズムといいます。

ペンタミラーはその名の通り2枚のミラーで構成されており、軽くて安価なのが利点ですが、像が暗く小さいという欠点があります。

これに対して、ペンタプリズムは像が明るく大きい利点を持っていますが、重く、高価です

視野率

ファインダに映し出された像が撮影される像に対してどれだけの大きさであるかを、視野率といいます。視野率が100%未満の場合、ファインダに映し出された像の周辺も撮影されます。

倍率

ファインダに映し出された像の大きさの撮像素子に対する大きさを、倍率といいます。倍率が大きいほど、ファインダは見やすくなります。

その他の光学ファインダ

レンジファインダに代表されるその他の光学ファインダは、シャッタを切った瞬間に像が消失しないという利点があります。一方で、撮影される像とファインダに映し出される像の乖離が激しいという欠点があります。

操作

縦位置グリップ

縦位置グリップを持っていたり、または後付けできる機種には、カメラを縦位置にしたときに安定させ、操作性を高める利点があります。

評価

測距

焦点の自動設定を行うために被写体までの距離を測ることを測距といいます。

速度

測距速度が高速であれば、撮影機会を逃す可能性が低くなります。

最低光量と補助光

測距に必要な最低光量が高ければ、暗い場所や暗いレンズでも測距を行うことができます。

測距点数

測距点数が多いと、構図を保ったまま測距を行うことができます。

耐振

手ぶれ補正

手ぶれへの対策として最も有効なのは当然、手ぶれ補正機能です。これは、いくつかの種類があり、それぞれに利点と欠点があります。なお、多くの静止画撮影用のカメラに搭載されている、手ぶれ補正機能はそれ自体に、レンズと撮像素子の位置関係を破壊して最良の結果を得ることを不可能にし、また前後へのブレに対応できない欠点があります。

撮像素子への実装

撮像素子に機械的に実装された手ぶれ補正は、撮像素子を上下左右に動かして手ぶれを打ち消します。

レンズ交換式のカメラにおいて、撮像素子に手ぶれ補正が実装されていると、すべてのレンズで手ぶれ補正を利用できるという利点があります。一方で、レンズそれぞれの特性に応じた補正の実装が難しく、専用素子を用いた測距には手ぶれ補正が適用されず、また、駆動範囲に制限が強くかかるため、低減効果に限度があります。

撮像素子への電子的な実装

撮像素子から画素を読み出す際に手ぶれを打ち消すように読み出す手ぶれ補正があります。

小型のカメラに多く実装されていますが、撮像素子の画素数を有効に生かすことができない欠点があります。

レンズ側への実装

レンズに実装された手ぶれ補正は、複数枚で構成されているレンズのうちの一部を動かすことで光軸を変化させ、手ぶれを打ち消します。

レンズごとに最適化され、最高度の補正効果が見込め、またファインダや測距用の素子もその恩恵を受けることができる利点があります。しかし、すべてのレンズで手ぶれ補正が使えるわけではないことや、手ぶれ補正用のレンズが追加され、画質が低下したり、駆動部がレンズに内蔵されるため、重量が増加するなどの欠点があります。

静音撮影機能

撮影速度を犠牲にして、シャッタ音を小さく抑える静音撮影機能は、シャッタや一眼レフカメラのクイックリターンミラーの動きをゆっくりとさせるため、手ぶれを抑えるために効果的です。

ミラーバランサ

クイックリターンミラーにバランサがされていると、シャッタによる振動が低減されるため、手ぶれを抑えるために大変効果的です。

重量と剛性

撮影者の体力に適した重量と剛性は手ぶれを抑えるために大変重要です。

軽すぎるカメラは、シャッタボタンを押した際に、その力がカメラに伝わってしまい、手ぶれの原因となります。逆に重すぎるカメラは、保持していることが難しいため、安定されられなくなります。

むすび

この記事では、まず、映画の撮影と写真の撮影を比較して、その違いがどのように写真撮影用のカメラへの要求性能に影響するか示し、機動、操作、評価、耐振の四項目に分けて、写真撮影用のカメラを調達する際に考慮すべき点について記しました。