α7sとATOMOS SHOGUNでITU 4K(UHD)の映像を撮影する

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まえがき

ソニーのミラーレス一眼カメラα7s(ILCE-7S)と、ATOMOSの録画機SHOGUNを使えば、縦横の画素数がそれぞれ3840画素、2160画素のITU 4K(UHD)形式の動画を収録できます。

この記事では、実際にこの二つを組み合わせてITU 4K(UHD)の撮影を行って得た知見について紹介します。

なお、この記事はわたしたちの環境で起きたことを書いています。ですから、例えばSSDがわたしたちの選んだものと違う場合、まったく違う結果になるかもしれないということに注意してください。また、SHOGUNは未だ発展途上のシステムであり、例えばわたしたちが試験した際には収録した動画の再生機能がありませんでしたが、今は存在します。したがって、SHOGUNの内部ソフトウェアの更新によって、この記事が意味を為さなくなる可能性があります。この危険性をわたしたちは理解していますが、わたしたちは最新の情報にこの記事を更新し続ける考えを持っていません。

輸送

SHOGUNには頑丈なケースが付属していますが、非常に大きくその内容物のすべてが常に必要であるとは言えません。

シンクタンクフォト ミラーレスムーバー10に収めたSHOGUN
シンクタンクフォト ミラーレスムーバー10に収めたSHOGUN

シンクタンクフォト社のミラーレスムーバー10はSHOGUNと予備の充電池とマスタキャディ、ケーブルを収めて持ち運ぶのに大変具合の良い鞄です。

画面保護フィルム

SHOGUNには巨大な液晶画面がありますので、これをキズや割れから保護するために、また光沢のある画面をつや消しにして画面の視認性を変えるために、フィルム等を使うことができます。しかし、SHOGUNの画面の大きさに合致したフィルムをわたしたちは知りません。

ノートパソコン用などの大きめの画面保護フィルムを加工して貼り付けることもできますが、SHOGUNの画面は真に平らではなく、凹凸が若干ながらあります。凹凸の部分にフィルムが被さることを、その部分を切り抜くなどしてやらないと、その部分からフィルムが浮き、美観を損ねたり視認性が低下するといった問題が起きやすくなります。

設置

設置全般における注意点

設置において重要なのは、第一にSHOGUNの筐体が巨大なことです。充分な余裕を持たないと、他の機材や部品に干渉したり、映像の確認や操作が著しく困難になります。

第二に重要なのは電池を装着すると重量もかさみ、大容量の電池を装着するとこれがさらに悪化することです。設置の際に利用する支持部品や架台の許容重量に関係し、機器の安全な設置に直結する重要な事項なので、充分注意する必要があります。

ホットシューの利用

SHOGUNをα7sのホットシューに積載するためには、ホットシューに接続して1/4インチのオスネジを出す部品を用いる必要があります。これを使いあるいはさらに3/8インチのオスネジにこれを変換してやれば、自由雲台を装着して自由な向きにSHOGUNを向けることもできます。

ただし、これら部品の選択には気を配る必要があります。わたしたちが選択したある部品はネジを締めてもホットシューから部品が簡単に脱落しSHOGUNが落下の危険に晒されたこともありました。

ブラケットの利用

ストロボブラケットを用いて、α7sとSHOGUNを横に並べることもできます。しかしこの場合、SHOGUNは横に長く巨大な筐体であるため、相当に横長のブラケットでない場合、α7sとSHOGUNを直線上に配置することが難しいということを注意する必要があります。

小型アームの利用

照明機材用の小型アームを用いてSHOGUNを取り付けることもできます。

小型アームによる設置
小型アームによる設置

この例では三脚のエレベータにアームを締め付けていますが、カーボン三脚の場合、必要以上に締め付けることによる破損が発生しやすいので注意が必要です。

リグの利用

リグでα7sとSHOGUNを組み合わせることは簡単です。ブラケットを用いて、あるいはオス–オス変換ネジを用いて、リグ上にSHOGUNを設置します。SHOGUNは外付け画面でもありますから、カメラの使い勝手も大変よくなるでしょう。しかし、いささか大がかりなものになってしまうのが玉に瑕です。

リグとブラケットによる設置
リグとブラケットによる設置

リグと小型アームの併用

リグに小型アームを取り付けてそこにSHOGUNを設置すると向きも自在に変えられるため大変便利です。

リグと小型アームの併用による設置
リグと小型アームの併用による設置

リグと小型アームを併用するときに気をつけなければならないのは、水平方向に通常維持される金属管にアームを締め付けると、アームの支持力によってはSHOGUNの重みでアーム自体が回転してしまうということです。この問題を解決するためには、アームを水平方向に取り付ける、SHOGUNが重力に引かれて降下しないような位置に取り付ける、あるいはアームの回転を阻止するための手段を講じる必要があります。

小型アームの回転阻止
小型アームの回転阻止

アームの回転をアームを取り付けた金属管とは別の金属管を干渉させることで阻止しています。

ケーブルの選択

端子形式

α7sとSHOGUNとの接続はHDMIによって行われますが、α7s側はHDMI Type-D(Micro HDMI)で、SHOGUN側はHDMI Type-Aですから、これに対応したケーブルが必要となります。

末端部の処理

α7sのHDMI端子は筐体から横方向に出ていますので、SHOGUNをホットシューを使ってα7sの上に設置する場合、その方向に伸びるL字の接続部がありますと大変便利です。そうでないと、ケーブルの端子部分が破壊されたり、内部断線する可能性が高まります。

負荷がかかり破壊された端子
負荷がかかり破壊された端子
L字の端子を装備したHDMIケーブル
L字の端子を装備したHDMIケーブル
L字の端子を装備したHDMIケーブルによるSHOGUNとα7sの接続
L字の端子を装備したHDMIケーブルによるSHOGUNとα7sの接続

電源

SHOGUNに付属する電源アダプタたち
SHOGUNに付属する電源アダプタたち

家庭用電源アダプタの判別方法

SHOGUNには家庭用電源に接続し、直流変換を行い降圧を行うアダプタが二つ付属していますが、片方はSHOGUN本体用、片方は充電器用です。これを判別するために、仕様表記が利用できます。

充電器の仕様表記
充電器の仕様表記

充電器の裏を見ると、入力電圧の定格が12Vであることがわかります。

充電器用電源アダプタの仕様表記
充電器用電源アダプタの仕様表記

したがって、充電器用の電源アダプタは出力電圧の定格が12Vの表記のある方です。

本体用電源アダプタの仕様表記
本体用電源アダプタの仕様表記

車内用電源アダプタ

車内電源の定格電圧は通常12Vですので、車内用電源アダプタは充電器に使用できます。

ATOMPLT003

わたしたちのカメラシステムはニコンを基準としているため、ニコンの充電池EN-EL15をわたしたちは大量に保有しています。これを有効活用するため、わたしたちはEN-EL15をSHOGUNで使用するソニーのNP系列の充電池の替わりとして利用する変換器ATOMPLT003を調達しました。

確かにこれを使用すれば、EN-EL15でSHOGUNを稼働させることができますが、ファームウェアのバージョンが6.0の場合、実際の稼働時間は10分以下でした。1900mAhの放電容量を持っているからといって、SHOGUNに付属するNP-F570の7割の時間稼働できるということではないとわたしたちは捉えています。但し、ファームウェアの改善によってこの問題は解消されているかもしれません。なお、SHOGUNが起動不可能な状態になったあとも、ニコンのカメラを使うには充分な放電容量がEN-EL15の内部には残されていました。

SSD

認識

わたしたちは今回、収録用のSSDとしてATOMOSの日本代理店テイクで公開されている4K収録推奨機種のリストからであるトランセンド製SSD370 TS512GSSD370を利用しました。

現在は上記リストにも記載されていますが、トランセンド製のSSDを使用する場合、起動後にSSDを装填したマスタキャディを装着しないと、メディアを認識しません。また起動が極めて遅くなる、タッチパネルが反応しない等の問題が起きます。

収録時間

収録時間は装着したSSDの空き容量に応じて画面上に表示されますが、SSDの調達前にこれを知りたい場合は、Apple ProRes White Paperが便利です。AppendixのTarget Data Ratesを参照すれば、一時間あたり何メガバイト記憶空間を消費するかが一目でわかりますから、お使いのあるいは検討しているSSDで何分収録できるかわかります。

起動時間

試験すればすぐにわかることですが、起動には7秒ほど見積もることをおすすめします。

液晶画面

精細度

液晶画面の精細度は充分に高く、焦点設定補助機能を使わなくとも、距離環を動かして手動で焦点がしっかりと設定できる水準のものです。むしろ補助機能を使うと微調整の結果が分かりづらいため、使わないほうが良いかもしれません。

タッチパネルの反応

タッチパネルは実用に耐えうる水準のものですが、所詮タッチパネルであるため、その問題をすべて持っています。

耐候性

わたしたちはα7sとSHOGUNを小雨のなか、可能な限り撥水素材のカバーの下で使用しましたが、完全に雨から保護できたわけではありませんでした。しかし、タッチパネルが濡れているときに反応が低下する以外の問題は特に見られませんでした。しかし、当然このような状況下での利用は機器故障の危険が高まりますので、可能な限り避けるべきです。

わたしたちはα7sとSHOGUNを剥き出しの状態で大雪警報の出ている屋外で10分ほど使用しましたが、雨の中と同様にタッチパネルが濡れているときに反応が低下する以外の問題は特に見られませんでした。しかし、当然このような状況下での利用は機器故障の危険が高まりますので、可能な限り避けるべきです。

作例

動画

以下にα7sとSHOGUNによって収録したITU 4K(UHD)の大きさの動画の作例を示します。レンズはCarl Zeiss Makro-Planar T* 2/100 ZF.2で、レイコール製のマウントアダプタを介してα7sに装着しています。

静止画

以下にα7sとSHOGUNによって収録したITU 4K(UHD)の大きさの動画は低圧縮であることとその高解像度から静止画としても充分な品質の画像を切り出すことができます。

動画から切り出した静止画像
動画から切り出した静止画像

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むすび

この記事では、α7sとSHOGUNを組み合わせて試験運用した際にわかった、様々な事項について記しました。