公道上で低予算映画を撮影するために必要な準備と手続き

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まえがき

撮影を行う場合は、その土地の所有者から許可を得なくてはなりません。公道上で撮影を行う場合は、撮影場所を管轄する警察署の許可が必要です。そして、許可を得るためには、その警察署に対して撮影場所や内容等を記した書類を提出する必要があります。したがって、公道上で撮影をする前には撮影について綿密な計画を立て、準備をしなくてはなりません。

この記事では公道上で撮影するために必要なロケハン作業、道路使用許可の取得について解説します。

この記事は、公道上での撮影に道路使用許可を取得することが必要であることを前提に解説しています。わたしたちは法律についての専門家ではなく、また法律の専門家を擁しておりませんので、法律についての解説は行いません。実際の撮影および道路使用許可の取得については管轄の警察署に問い合わせの上、指示にしたがい、許可を得た上で、ご自身の責任で行ってください。

必要な情報の整理

道路使用許可申請書の申請様式および注意事項

道路使用許可の取得には、道路使用許可申請書の提出が必要となります。道路使用許可申請書の様式には警視庁ホームページ内の申請様式一覧(道路使用許可等):警視庁で配布されている様式が参考になります。

以後、この記事は警視庁ホームページが配布する道路使用許可申請書の申請様式および注意事項にしたがって道路使用許可を取得することを前提に手順を解説します。

申請に必要な情報

道路使用許可申請書の様式を満たすためには、責任者とその住所や連絡先等、既知と考えられる情報の他にいくつかの情報を取得しなければなりません。以下に、特に収集する必要があると思われる情報を記します。

  1. 場所を示す番地
  2. 提出先の管轄警察署
  3. 撮影時の人員配置、動線等

したがってロケハンでは撮影場所を決めると同時に、道路使用許可を得るために必要な情報を取得します。

ロケハン

装備

まず、画角を決めるためにカメラを用意します。実際に撮影に使用するカメラでなくてもかまいませんが、できる限り、同じ画角がとれるカメラが望ましいといえます。画角を決定し、役者の動線を決定すれば、撮影時の人員や機材の配置も決定しやすくなります。

また、カメラの時計を正確に合わせておきます。これはGPSロガー等によって撮影場所を割り出すために必要な処置です。

GPSロガーあるいは同等の機能を有するスマートフォン等の機器およびソフトウェアは、写真から撮影位置を割り出して、その後の計画に役立てるために必要です。GPSロガーの時計も正確に設定しておかなければなりません。もちろん、撮影時に位置情報を記録できるカメラを使っている場合は、とくに必要ありません。

GPSロガーは必須の装備ではありません。あとから地図を用いて撮影場所を割り出すことができるのならば、必要ありません。

わたしたちは、ロケハンの担当者によって違いますが、Enterpriseの撮影の際にはカメラとして、RICOH PX、RICOH GR DIGITAL 4、Nikon D7000、iPhone4Sを使用しました。また、GPSロガーとしてGPS-Trk for iPadをiPad 2上で動作させました。

GPS-Trk for iPad 2
GPS-Trk for iPad 2

実施と収集すべき情報

ロケハンを開始する際にはGPSロガーを起動します。起動したらロケハンの終了時まで、電源を切らずにおくことを推奨します。位置情報の収集忘れを防ぐことができるからです。

撮影場所として使いたい場所を見つけたら、脚本等に基づいて、必要なカットを考え、カメラ位置と方向を決定し、写真撮影を行います。この際、可能な場合はカメラのアスペクト比を作品のアスペクト比と揃えておくと、建造物等の予期しない映り込みを回避することに役立ちます。

また、電柱等の住所表記を撮影しておくと、後の作業に役立ちます。

情報の整理

写真と位置情報の統合

ロケハンが終了したら、撮影した写真とGPSロガーの記録をパソコンに取り込み、両者を結合します。両者の時計を合わせておくことで、写真に位置情報を付加することができます。

位置情報が統合された写真は、人員配置や動線を示した書類を作る際に便利です。

番地の割り出し

位置情報の付加された写真を、地図情報と対応づけて表示できるソフトウェアがある場合はそれを使用することで、番地を割り出すことが可能です。

その機能を持つソフトウェアをお持ちでない場合は、位置情報の緯度経度をGoogle Maps等インターネットの地図検索サービスで検索することで、緯度と経度が示す位置を地図上に示すことができますので、番地を割り出すことができます。ただし、緯度と経度の表示方式には数種類あるため、位置情報を取り扱うソフトウェアや経度・緯度の指定によるGoogle Earth/Google Maps/地図の起動などのインターネットサービスのご利用をお勧めします。

管轄する警察署の割り出し

番地を管轄する警察署は、警察庁のホームページにある全国警察署名称位置管轄区域一覧で調べることができます。

道路使用許可申請

事前の相談

実際に道路使用許可申請を提出する前に、番地を管轄する警察署に、道路使用許可申請について問い合わせることをお勧めします。

問い合わせる内容としては、申請書の提出から受理と許可証の発行に要する期間や、警察署内の申請場所、添付すべき書類等についてが挙げられます。また、特に混雑が予想される地域や、橋梁等、警察署の管轄を跨ぐ場所で撮影を行う場合も事前に相談することで、後の作業を円滑に進められることが予想できます。

書類の作成

様式以外の書類には、「別紙」と書き込んで、番号を振り、題をつけます。これを用いて書類間で参照関係を記述します。

現場見取り図の作成

道路に、どのように人員および機材を配置し、撮影を行うのか、ということを示すために現場見取り図を作成します。

まず、地図から撮影場所周辺の略図を作成します。続いて、ロケハンに基づいてカメラの位置と方角を書き込みます。さらに、役者の位置及び動線を書き込みます。くわえて、撮影が往来に与える影響を最小限に抑え、事故を防止するために交通誘導を行う人物の位置も書き込みます。これ以外にも、撮影場所に人物がいたり、機材を持ち込む場合は、それについても書き込みます。

見取り図の作成で記号を用いた場合は、凡例も書き込みます。

地図の作成

現場見取り図が地図上において、およそどのあたりを指すのかということを示す地図を作成します。

撮影概要を記した書類の作成

許可を受けた場合、撮影に参加する人数と車両の使用の有無に加え、警察署から求められた事項を書き込んだ書類を作成します。

企画書の作成

作品の内容や、撮影内容についての企画書を作成します。

特に、周囲に重大な影響を与える行動や言動の有無や、ある場合はそれによって起きる被害を防止するための策等を記す必要があります。なお、わたしたちはそういった行動や言動を公道上で行わないように脚本を調整し、撮影を行いました。

申請書の作成

前述の様式を作成します。注意事項に従い、すべての欄に必要な事項を記入します。なお、手書きである必要はありませんでした。

申請書は二部必要となるため、添付書類等もすべて二部作成します。これらをステープラ等で編綴する必要はありませんでした。

申請書の提出

申請書が完成したら、撮影地点を管轄する警察署の、道路使用許可申請を取り扱う窓口へ申請書を提出します。

この際、警察官から質問をされることがあります。わたしたちは映画の内容や、組織の概要、撮影場所の占有時間、三脚および特機の使用の有無、車両の使用の有無等を質問されました。

また、申請料の支払いもこの時点で行います。わたしたちは一律して一件に付き2100円支払いました。

その後、納入通知書兼領収書を受け取ります。これは、受領に必要になります。 この際に、道路使用許可証の受取が可能な日を知らされます。

なお、現場責任者と申請者が同一人物である必要はありませんでした。

提出に赴く際には、可能であれば申請書をその場で更新したり、作成するために必要な道具一式を持っていくことをお勧めします。これは、事前の調査が上手くいっておらず、問題が発生したとき、速やかに対応するためです。

また、警察署近隣の印刷サービス会社や、印刷サービスを行うコンビニエンスストアの位置、公衆電話の位置等も確認しておくことをお勧めします。

くわえて身分証明書と印鑑も携帯することをお勧めします。

許可証の受領

受取が可能な日になったら、道路使用許可申請書を提出した警察署に許可証を受け取りに行きます。この際、納入通知書兼領収書と印鑑が必要になります。

撮影

撮影時には取得した道路使用許可証を携帯することはもちろん、申請内容と警察からの指示にしたがって速やかに撮影を行い、撤収します。

むすび

この記事では公道上で撮影するために必要な手順のうち、準備段階について重点的に説明しました。実際に公道上での撮影を試みられる場合は、警察と相談し、その指示にしたがい、許可を得て、安全に、ご自身の責任の下で行ってください。

参考